自然の力を味方にする「パッシブデザイン」とは?
パッシブデザインとは、太陽の熱や光、風といった自然の力を最大限活かす住宅デザインのこと。エアコンや照明といった機械に頼りすぎずに、 快適で健康的に暮らせます。
TIPS
自然の力を味方にする「パッシブデザイン」と住宅性能
自然の力を活用して快適な暮らしを叶える「パッシブデザイン」の家。省エネ住宅が求められる中で最近よく耳にするようになりましたが、具体的にどのような家なのかわからない方も多いでしょう。
今回は「パッシブデザイン」の家はどのようなものなのか解説します。エコで快適に過ごせる家づくりをしたい方は参考にされてください。
パッシブデザインとは、太陽の熱や光、風といった自然の力を最大限活かす住宅デザインのこと。エアコンや照明といった機械に頼りすぎずに、 快適で健康的に暮らせます。
夏の強い日差しは軒や庇で遮ることで涼しく感じられます。
6月の夏至の頃の太陽の日射角度は約80度と、ほぼ真上から光が降り注いでいる状態。そして7月頃の真夏になると約50〜70度まで下がってくるので、軒や庇では遮断できないことも。
軒だけで日差しを遮るのが難しい場合は、ルーバーやブラインド、大きな植物などを組みあわせて日陰をつくるのも効果的です。
冬は太陽の光をぞんぶんに取り込んで、ポカポカと暖かい部屋をつくります。
冬至の頃の太陽は約30度まで低くなるので、軒に遮られることなく光が入ってきます。大きな窓に加えて、天窓や吹き抜けを組み合わせるとより光を取り込めるでしょう。
光が室内の奥まで反射するように、白系の内装材を採用するのもおすすめです。
夏の日差しをカットしたいからといって、軒や庇を長くしすぎるのは構造上難しいもの。雪の重みで折れてしまうこともあります。
そこで組み合わせたいのが、窓に屋外側からつける「外付けブラインド」です。太陽の位置に合わせて羽の角度が調整できるので、真っ暗にはならずに真夏の直射日光を遮ることができます。
部屋の内側につけるブラインドもありますが、屋外側につけたほうが家の中に入ってくる熱が少なくなります。ブラインドを閉め切ると、窓から寒さや暑さが入ってくるのも防げて、冷暖房効果もアップしますよ。
パッシブデザインの最大のメリットは、冷暖房や照明の使用が減って、光熱費が節約できること。家の中で温度差が少ないので、ヒートショックや熱中症のリスクも低減できます。
パッシブデザインのデメリットは初期費用の高さ。高性能の断熱材やサッシなどを使うことで、コストアップする可能性があります。
しかし、長い目で見るとどうでしょうか?毎月の電気代が節約できれば、初期費用を回収していくことができます。また高性能な家は、将来的な資産価値を保つことにもつながります。
パッシブデザインと共に考えたいのが、気密性と断熱性を高めることです。
建物はどれだけていねいに建てたとしても、窓サッシやスイッチボックスのまわりなどに「余計な隙間」ができてしまいます。目には見えないくらいの小さな隙間でも、外から隙間風が入ってくる原因に。
高気密な家とは、この「余計な隙間」をなるべくなくした家のことです。気密テープで隙間をなくしたり、気密測定で隙間を見つけてふさいだりして、気密性を高めます。
気密性が高まると冷暖房効率がアップするだけでなく、遮音性が高くなるのも利点。外からの騒音をある程度シャットアウトでき、室内の話し声やテレビの音も外に漏れにくくなります。
健康的な家にするためには、断熱性を高めることも必要不可欠。熱の伝わりにくい樹脂サッシを使ったり、床や壁に断熱材を入れたりして、外からの暑さや寒さをシャットアウトします。
断熱性のレベルがわかるのがUA値。床や壁、屋根などから外にどのくらい熱が逃げていくのかを数値化したもので、UA値が低い=断熱性が優れていることを示します。
気密性や断熱性といった住宅性能を高めるには、断熱材の選び方や窓の断熱の仕方がポイントになります。
壁や床、天井に入れる断熱材には、硬質ウレタンやグラスウールなどさまざまな種類があります。断熱材は「熱の伝えにくさ=UA値」で選ぶことも大切ですが、それと同時に考えたいのが「隙間のできにくさ」です。
例えば柱の間にカットした硬質ウレタンをはめ込む場合、新築時にはぴったりでも、経年で木が縮んで隙間ができてくることがあります。隙間風や結露の原因になるので、断熱材は隙間なく施工することがとても大切です。発泡ウレタンを吹き付ける断熱であれば、そのようにあとから隙間ができることはありません。
暑さや寒さが最も伝わってくるのは、壁ではなく窓やドアなどの開口部です。大きな開口部ほど優先して断熱対策をしましょう。
高断熱の窓として注目されているのが、トリプル樹脂サッシ。窓枠はアルミよりも熱が伝わりにくい樹脂でできており、ガラスが3枚重なったトリプルガラスが入っています。ガラスとガラスの間には熱を伝えにくいアルゴンガスを封入することで、窓に触れても冷たく感じることはありません。
パッシブデザインは、自然の力を味方にして快適な住まいを手に入れる方法です。パッシブデザインを取り入れた設計・施工ができる会社は限られるため、施工事例のある会社にお願いしましょう。
パッシブデザインの家の日中の明るさや冬の暖かさは、写真ではなかなか伝わりにくいもの。ぜひ山形県天童市にあるV-smartHouseのモデルハウスへ心地良さを体感しにいらしてください。太陽光発電やHEMS、V2H、災害対策など、これからの時代には欠かせない住まいの機能も見ていただけます。